2014年03月11日

イオク サツキ ウォーターレス・リトグラフ作品展「HI/BI」開催中です

先週の水曜日・5日から始まった、イオクサツキさんのウォーターレス・リトグラフという版画の技法による個展。
タイトルの「HI/BI」は「ひび」と読み、日常の何げないものを切り取った大小の作品19点を展示しています。

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展示を見て行く前に、そもそも「ウォーターレス・リトグラフ」とは?と思っておられる方が多いと思いますので、技法について少し紹介していきましょう。

ロートレックやシャガール作品で有名な「リトグラフ」は19世紀の初めに発見された技法で、木版や銅版画のように物理的凸凹の版を作るのではなく水と油が反発し合う科学的な原理を応用したものです。元は版材に石を使っていたので「石版画」とと言われますが、今ではアルミを版材としてそれに油性の画材(クレヨン等)で描くことによって版が出来、刷る時は版の上に水を引くことで描いたところだけにインクが乗るという仕組みです。ちなみに現在雑誌やパンフレットなどの印刷で一般的に使われている「オフセット印刷」も、この原理を応用したものです。

「ウォーターレス・リトグラフ」はそれの進化型で、専用のアルミ板に水溶性の画材(専用の鉛筆やポスターカラー等)で描き、その上からシリコンボンドを薄くのばして乾かした後、水溶性で描いた所を拭き取るとその上に塗ったシリコンまで取れるので、描いた所だけにインクが乗るという仕組みです。リトグラフのように水を引く必要がないので「ウォーターレス」と言われます。
この技法は高級印刷用に技術開発されたものを、カナダのニック・スメノフ氏が研究を重ねて1990年に実用化したまだ新しい技法で、イオクさんの大学でも昨春卒業した彼女の学年が「ウォーターレス・リトグラフ」コースの第1期生とか。
どうぞ皆さん、これから「ウォーターレス・リトグラフ」に注目して下さいね!

それでは展示の様子を見ていきましょう。
今回は1版から多色刷りまで、様々なタイプの作品の見本市のような構成になっています。

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エレベーターホールから見たところ。

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入口から見たところ。

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山側の壁には1版でドローイング系の作品が。

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奥の壁には版を切り抜いてエンボス効果を出したエッチング風の作品が。

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海側の壁にはシルクスクリーンのように鮮やかな6版刷りの大きな3連作が。

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入口側にはエンボスタイプの小品と、今回の展示に使用した作品の版、額装していないこれまでの作品を入れたファイルなどを展示しています。

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受付横にある「SEIKATSU」(価格は要相談)は、切り抜いた複数の版を重ねて作る「コラグラフ」という手法なのだそうです。

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アルミ板に直接絵を描き、それを版にするとドローイングそのもののような風合いになります。

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「closet」と「okiniiri」(各20,000円)

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「hibi」と「odori」(各20,000円)

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「bouquet」(20,000円)とその版

奥の壁には、版を作ってから形を切り抜いて刷ることによって版の厚みがエンボスとなっている銅版画風の作品を集めています。
アルミ板は薄いので金属用のハサミで簡単に切ることができるのだそうです。

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作品たちと使用した版。

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「plate」と「cutlery」(19,500円)

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「mug」と「inutachi」(各 19,500円)

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「nekotachi」(売約済)

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「jacket」(23,400円)

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「sneaker」(23,400円)

この3点は大学の卒業制作で作った大作です。面積の広いベタ面がシルクスクリーンのように綺麗ですね。

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「子供の領分 I 」(非売)

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「子供の領分 II 」(非売)

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「子供の領分 III 」(非売)

シンプルな形と線でも味が出て楽しいですね!

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「shiro」(19,500円)

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「toritachi」(19,500円)

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「kuro」(19,500円)

このほかファイルの中にある額装していないもの中に、レースのような透け感があるものとか、同じ版を色違いで刷ったものとか、興味深い作品が沢山入っていますので、こちらもお見逃しのないようお願いします。

イオクサツキさんのウォーターレス・リトグラフ作品展「HI/BI」は16日(日)の18時までです。
まだまだ珍しい新しい版画技法による作品を、この機会にぜひご覧下さい。

なおイオクさんのホームページでは上の画像にはない作品も紹介されています。こちらからどうぞ。
posted by STAFF1号 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | Vieの作品展
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